清水焼の郷探訪

第18回

人の手に大切にされるのが ほんまもんの磁器

北村 賀善

  • 1989年 日本画をはじめ日本の美術展、パリ展にてパリ市民賞
  •     ニューヨーク展出品 アートクールド賞
  • 1991年 現代文化賞
  • 1992年 現代文化芸術賞
  • 1993年 現代、京焼・清水焼パリ展出品
  • 1997年 伝統工芸士認定
  • 現在  NPO法人匠民の会

日本橋三越・大阪三越、日本橋高島屋などの百貨店や有名料理店、小売店などで個展活動。

志 ambitions

 京都市東山区日吉町。東山連峰の西の麓になだらかな広がりをみせるこの地は、大正2年に登り窯が築窯されて以来、京都の磁器の一大陶業地である。
 最盛期には20基もの登り窯が築かれ、濛々と黒煙をあげるレンガ造りの煙突は、さながら日吉町の象徴のような存在だった。北村賀善さんは、そんな日吉の登り窯の魅力にいつのまにか取り付かれ、作陶の世界へと入った人だ。

 「僕が生まれた頃は、登り窯で焼き物をするんが当たり前やった。親父も、仲間と一緒に登り窯を一本持ってたし、小学校の高学年からは、何やかやと手伝いをさせられてたね。別に喜んでやってたわけでもないけど、何かせなあかんような気になってたんやろうね。できることは少しでも手伝ってやろうかと。」
 薪割り、窯詰、窯焚きは三昼夜。火加減を何度も確かめに足を運ばねばならない登り窯は大変な労力と勘の連続だ。それに格闘する父親の姿を見て、手伝いこそすれ、継ぐことに抵抗を感じていたという。

 「なんでこんな苦労して、しんどい目してせなあかんのかなと。それでいて大してお金にもならんのにと、思ってましたね。だから、継ぐことは頭にはなく、別のやりたい仕事を考えていました。」 それでも、いつの間にか、だった。自然と、面白さに魅かれていった。
「なんていうかな、窯を詰め切って、火を入れて、火が1200~1300度になっていく時の綺麗さ。二日三日夜通しで、朝飯に座ったのは覚えてるけど、何食べたかわからんくらい疲れ果てたり、窯から出すときにドキドキしたり。そういうことができるのが面白さなんやと。そう思ってのめりこんでいったら、やりたい仕事を忘れてしまってた。」

 しかし、昭和39年、登り窯は公害問題から条例で禁止される。京都中の登り窯から炎が消え、代わりに電気釜やガス窯が登場。北村さんは、清水焼団地へ移転し、ガス窯で勝負することになる。
 「登り窯は本当にすごい煙からね。陶器やってる人間は我慢できても、関係のない周りの人たちからすれば迷惑なことだから、仕方ないことなんですわ。」

技 skills

 北村さんの作品は、呉須を使用した磁器が中心。土ものよりも、成形が難しい磁器にありながら、小皿、大皿、大鉢、茶碗など、自由に何でもこなしてしまう。特に、直径80cmものダイナミックな大皿に、精緻な図柄が映える作品は、北村さんの技術の高さを際立たせている。

 「技術は学んだというか、見て覚えました。しょっちゅう一緒に親父と仕事して、親父のを見てるわけやしね。それに、日吉町はたくさん職人さんがおったから、それぞれの工場をのぞいては、職人さんのやってることろを見てたね。見て、ええとこを、練習に取り入れてた。練習は深夜にひっそり、昼間はほとんど仕事せず、工場をぶらぶら見回ってたので、わしが普通に仕事するとは誰も思ってなかったみたいですわ。でも、そうはいかん。」
 色絵、白磁、青磁も制作するなか、好んで使うのが呉須。鮮やかなコバルトブルーが真白い磁器肌に上品に合う。
 「たった一色やけど、いろんな色を感じさせるのが呉須。僕が好きな水墨画のように、濃淡で色を表現してみたい。」

 個展活動を中心に据え、旅館、料理屋、個人など全国各地に幅広い客層を持つ北村さん。
 「どんな大皿でも、料理に使ってくれる旅館のご主人や、“地震があっても壊れへん家を作ったから、北村さんの作品も大切に飾っとけるよ”と言ってくれる方がいるのは、作家冥利につきますね。大切にされているということが、作家にとって幸せなこと。100年、200年、300年大切にされるような作品を、できるだけ作ってみたいというのが目標ですね」

声 voices

 京都は卓越した技術をもった職人さんがたくさんおられる街。そういう方々に負けないような技術を身につけることが私のスタートでした。

 個展を中心に活動してきた私ですが、今でも作家というよりも職人と言われるほうがしっくりきます。お皿、茶碗、鉢など、何かに利用できる陶器作りに私自身が魅力を感じているからでしょう、 陶器の分野だけに学ぶのではなく、NPO法人「匠民の会」で異業種交流もしています。漆、竹細工、錐金など、それぞれの分野で活躍する人たちと交流することで、新しい発想が生まれるからです。

 できるだけたくさんの人の手仕事や作品を見て、刺激を受けながら、これからも自分の作品を磨いていきたいと思います。

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