清水焼の郷探訪

第2回

あくなき陶芸の挑戦者として

陶芸家・谷口正典

  • 1954年 京都五条坂に、陶芸家谷口良三の次男としてうまれる
  • 1976年 大阪芸術大学工芸科陶芸専攻卒業
  • 1977年 京都市工業試験所専攻科終了後、父谷口良三に師事 関西展、京展、日展、初出品初入選
  • 1979年 京都工芸美術展招待作「尖」京都府買上
  • 1987年 第9回日本新工芸展出品作「水の調」外務省買上
  • 1992年 第14回日本新工芸展審査員 以後2回
  • 2002年 日本橋三越にて個展 第34回日展京都新聞社賞受賞
  • 2003年 第26回日本新工芸展会員賞受賞

現在 日展会友、日本新工芸家連盟評議員、京都府美術工芸作家協会会員

志 ambitions

「継いでくれなんて、一度も親父からは言われたことはなかった。それに、小さい頃は親父が嫌で嫌でね…」

 京都を代表する陶芸家、谷口良三氏を父に持つ正典さん。昼間は陶芸の講師、仕事から帰ると作家活動のため工房にひきこもる?陶芸一筋に生きた父親は、幼い正典さんにとって、陶芸しか頭にない人間。自分は二の次、三の次で、どちらかというと邪魔な存在だったという。

「あちこち動き回らんように箪笥の取っ手に紐でつながれた、なんていう思い出もあります」

 いつの頃からか、そんな父の姿を受け入れる。父親としてではなく、陶芸家としての生き様を、正典さんは理解したのだ。

「親父には陶芸だけなんですよ。そこまで情熱を傾けられる凄さを感じましたね」

 その情熱を受け継いで、今、自らの意志で同じ道を歩む。大学卒業後、正典さんは父に弟子入り。師弟関係は、20年以上、父の死まで続いた。

「継ぎたいと話したときも親父は何も言わんかったし、弟子入りしてからもほとんど言葉を交わさんかった。でも、見て、感じて、多くのことを学びました。ええ経験させてもろたと思てます」

技 skills

正典さんは、10年をひとつの区切りとし、それぞれテーマを設けて創作するというスタイルをとる。
以前から続けているのが、「色」にこだわること。「空と雲と風」をテーマとし、「紫紅釉(しこうゆう)」という自ら生み出した釉薬を使い、自然が織り成す色目を陶器に表す。

 その「色」に並行して、新たに挑戦しているのが、「土」。
愛媛県の山に赴き、土を採取。粘土つくりから始め、「緋幻釉(ひようゆう)」という自作の釉薬を用い、陶器へと完成させる。

 “何にこだわるか”で、同じ壺や花器、茶碗を作っても正典さんの作風はガラリと違う。幾層にも重なり、優しく溶け込んでいく「紫紅釉(しこうゆう)」が繊細な造形を形作るのに対し、採取する土に任せて成形する「緋幻釉」は、骨太で大胆。

「同じことをしてると飽きてきますやろ。作るからにはいつも違うもんを、と考えるんですわ」

声 voices

「次、どんな作品がみれるんやろう」と、毎回私の展覧会を楽しみにしてくれる人がいます。

 新しいことに挑戦することは、その分失敗も多く…。土というテーマで、初めて粘土作りを経験したときは、電話一本で簡単に注文できる粘土が、半年間という長い月日を経て創られるのだということに、改めて気づかされました。

 けれど、そういう風に失敗や驚きを重ねてこそ、完成したときの感動は大きい。窯出しの瞬間は、楽しみと緊張が入り混じり、いつも手が震えます。

 その手の感覚を失わない、挑戦者でありつづけたいと思っています。

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